祓詞（はらえことば）の意味とは？その効果や種類、読み方

祓詞（はらえことば）は、日本の神道において古くから大切にされてきた「心と体、そして空間を清めるための言葉」です。

「なんとなく気持ちが重い」「悪い流れを断ち切りたい」というときに、祓詞を唱えることで気分が整ったり、心がスッキリしたりするともいわれています。特別な道具がなくても、静かな場所でゆっくり唱えるだけでよいので、現代の暮らしにも取り入れやすいのも魅力です。

この記事では、祓詞の意味や歴史、代表的な種類、唱えるタイミングや作法まで、初心者でも分かるようにやさしく解説します。日常の浄化やリセットに興味がある人は、ぜひ参考にしてみてください。

祓詞（はらえことば）とは？意味や読み方

祓詞とは、神社の儀式や祈祷の際に唱えられる「祓（はらえ）」の言葉です。
祓とは、罪・穢れ・不安・迷いなどを取り除き、心身を清める行為 のことを指します。

祓詞の意味・役割

• 心の中にあるモヤモヤを落ち着かせる
• 神様の前に立つ前に心を整える
• 空間を清め、場を整える
• 祈りのエネルギーを高める

祓詞にはこのような意味があり、その時の心の状態に応じて適切に読む、聞くことで良い効果があるとされています。特に有名なのが「大祓詞（おおはらえことば）」で、神職だけでなく一般の人も唱えることがあります。

読み方

祓詞 → はらえことば
大祓詞 → おおはらえのことば

古語が多いため難しく感じるかもしれませんが、心地よい響きのある言葉です。

祓詞の歴史と背景

祓詞の歴史はとても古く、奈良時代の文献『延喜式』にもその形が記されています。
当時の人々は、病気や天災、不運は「穢れ（けがれ）」によって起こると考え、祓えによって浄化し、心身を整えていました。

歴史的には次のように発展してきました。

時代	祓詞の位置づけ
古代	国家の祭祀として祓えが行われ、罪や穢れを祓う儀式が確立
平安時代	宮中行事として「大祓」が定期的に実施される
中世～江戸時代	神社だけでなく庶民の間でも祓詞が広がる
現代	神社の儀式で唱えられるほか、個人の心のケアとして用いられる

現代では、祓詞は「精神の整理」「心を整える」などの目的で親しまれています。

祓詞にはどんな種類がある？

一口に「祓詞（はらえことば）」といっても、実は内容や使われ方によって、いくつかの種類があります。まず大事なのは、

狭い意味の「祓詞」 … 短い基本の祓いの言葉
広い意味の「祓詞」 … 祓い清めを目的とした祝詞（のりと）全般

という2つのとらえ方がある、ということです。

ここでは、初心者でもイメージしやすいように、代表的なものをいくつかのグループに分けて紹介します。

① 基本の祓詞：一番よく使われる「祓詞」と「大祓詞」

まず、祓詞の中心になるのが、この2つです。

■ 祓詞（はらえことば）

• 神主さんが祝詞をあげる前に 最初に唱える短い祓いの言葉
• 「掛けまくもかしこき伊邪那岐大神…」で始まり、
  「さまざまな災い・罪・穢れを祓い清めてください」とお願いする内容
• 神前に立つ前に、人と場をさっと清める“前準備”の祓詞

noteの記事でも、「神事のいちばん初めに唱える祝詞」であり、一般の人が神棚や参拝のときに唱えてもよい、と紹介されています。

■ 大祓詞（おおはらえことば）

• 6月と12月の「大祓（おおはらえ）」で唱えられる、長文の祓詞
• 人が知らず知らずのうちに負ってしまう、あらゆる罪・穢れを洗い流す内容
• 国家レベル・社会全体の平安を祈る、スケールの大きな祓いの祝詞

神職向けの解説では、神社祭祀の基本となる祝詞のひとつとして、祓詞と並んで必ず名前が挙がっています。

② 祓詞を短くした「略祓詞（りゃくはらえことば）」

祓詞はそこまで長くはないものの、「全部覚えるのは大変…」という人向けに、短くまとめた形 も伝わっています。

■ 略祓詞（りゃくはらえことば）

• 祓詞の中でも大切な部分だけを抜き出した、超シンプルな祓詞
• 代表的な形は 祓へ給へ　清め給へ
  （はらへたまへ　きよめたまへ）
• 「短く祈りたいとき」「とっさのとき」にも唱えやすい

noteの解説でも、「全文が覚えられないときや、短く唱えたいときに便利な形」として紹介されています。

💡 日常使いのイメージ
なんとなくイヤな感じがするときに、小さな声で
「祓え給え、清め給え」と唱えて心を落ち着ける、
そんな“お守りの言葉”としても使えます。

③ 禊（みそぎ）に関わる祓詞：禊祓詞・天津祝詞系

祓いの中でも、水で身を清める「禊（みそぎ）」 に関わる祓詞もあります。

■ 禊祓詞（みそぎはらえのことば）／天津祝詞（あまつのりと）

• 心身の穢れを祓うことに特化した祓いの祝詞
• 解説サイトでは「天津祝詞（禊祓詞）」として、大祓詞と並ぶ祓いの祝詞 に位置づけられています。
• 古代から伝わる「水による浄め」の思想とセットで語られることが多い

祓詞・大祓詞と同じく、「穢れを落として本来の自分に戻る」ことをテーマにした祝詞です。

④ 神社や場に特化した祓詞：鳥居・稲荷・六根清浄など

おさんぽYOKOHAMAの「神道祝詞」一覧を見ると、祓いに関係する祝詞がたくさん紹介されています。
その中には、特定の神社・神様・目的に合わせた祓詞 も多く含まれています。

代表例をいくつか挙げると…

種類	おおまかな役割
鳥居之祓（とりいのはらい）	鳥居をくぐる前後など、結界の出入りで身を清める祓詞
稲荷大明神祓・稲荷大神祓	稲荷の神様に関わる祓い清めの祝詞
六根清浄大祓（ろっこんしょうじょうのおおはらえ）	「見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触る・思う」六つの働き（六根）を清める祓詞とされる
日待之祓・月待之祓	日や月を待って行う行事の中で唱える祓詞
疫神祓（やくじんのはらい）	疫病や悪い気からの守り・祓いを願う祝詞

これらは、場面や目的に合わせた“専門的な祓詞” というイメージで捉えるとわかりやすいです。
「神道大祓全集」などの資料をもとに、多くのバリエーションが伝わっていることも、サイトで触れられています。

⑤ 神職が使う祝詞全体の中での「祓詞」の位置づけ

神職向けの解説では、祓いの祝詞は、祝詞全体の中の一カテゴリー として紹介されています。

「神職が奏上する祝詞の種類一覧」では、次のように整理されています。

• 大祓詞・祓詞 … 穢れ・罪を祓う祝詞（祓い専門）
• 祝詞本文 … 例祭や祈願祭など、その神事のメインとなる祝詞
• 告文・奉告文 … 「これから祭祀を行います」「無事終わりました」と知らせる祝詞
• 起請文 … 神様に誓いを立てる祝詞
• 神楽詞・遷座祝詞・神葬祭祝詞 など… 特定の場面専用の祝詞

この中で「祓詞」は、ほとんどの神事の“入り口”で唱えられる基本中の基本。
そのあとに大祓詞や祝詞本文が続き、神事全体が進んでいく、という流れになっています。

まずは「祓詞＋略祓詞＋大祓詞」を知っておけばOK

いろいろ種類が出てきましたが、最初のステップとしては、次の3つを押さえておけば十分です。

• 祓詞（はらえことば） … 一番はじめに唱える基本の祓詞
• 略祓詞（りゃくはらえことば） … 「祓え給え 清め給え」の短い形で、日常使いしやすい祓詞
• 大祓詞（おおはらえことば） … 半年ごとの大祓で唱えられる、長文の祓いの祝詞

そのうえで興味が出てきたら、鳥居之祓や六根清浄大祓など、目的別の祓詞に広げていくと、記事としても読み応えが出ますし、スピリチュアル寄りの読み物とも相性が良いと思います。

祓詞はいつ唱える？タイミングと効果的な使い方

祓詞は、特定の時だけでなく、日常生活の中でも気軽に唱えることができます。

おすすめのタイミング

1. 朝の始まりに
   　一日の気持ちを整えるルーティンとして最適。
2. 夜のリセットに
   　嫌なことがあった日や、疲れた日は特に効果的。
3. 神社参拝の前
   　心を整えてからお参りできます。
4. 大切な作業を始める前
   　仕事・勉強・人と会う前に唱えると心の雑音がクリアに。
5. 空間を清めたい時
   　部屋の空気が重い、気持ちが落ち着かないときに。

祓詞を唱えると期待できること

• 心が落ち着き、呼吸が深くなる
• 思考がクリアになる
• 空気がスッと軽くなる感覚
• 不安やモヤモヤの軽減

科学的な根拠というより「心の整え方」として親しまれています。

祓詞を唱えるときの作法と心構え

祓詞に厳しいルールはありませんが、より心地よく唱えるためのポイントがあります。

基本の作法

1. 姿勢をまっすぐにする
   　無理のない範囲で背筋を伸ばす。
2. 軽く息を整える
   　深呼吸を数回。
3. はっきり、ゆっくり読んでいく
   　古語はリズムを意識すると読みやすい。
4. 最後に軽く一礼する
   　感謝の気持ちを込めて終える。

心構え

• 無理に意味を覚えなくてもOK
• 読める範囲で読みやすく声に出せば十分
• 完璧さより「気持ちを整えたい」という意識が大切
• 小声でも、心の中で読むだけでも良い

慣れるほど自然に気持ちが落ち着き、祓詞のリズムが心地よく感じられます。

祓詞は日常の「心の浄化」に役立つ日本の文化

祓詞は、古くから人々が大切に受け継いできた「心と空間を整えるための言葉」です。神社での儀式だけのものと思われがちですが、その本質はとてもシンプルで、現代の私たちの生活にもそっと寄り添ってくれます。

嫌な出来事があったとき、気持ちが沈んでいるとき、空気が重いと感じるとき――そんなタイミングで祓詞を唱えると、スッと心が軽くなる感覚を味わう人も多いです。

祓詞の魅力は、特別な道具や知識がいらず、誰でもそのままの自分で唱えられる点にあります。長い祓詞が難しければ、短い略祓詞「祓へ給へ、清め給へ」だけでも十分。短い言葉でも、意識を切り替えるきっかけとして働き、心のリセットに繋がります。

また、祓詞には「言霊（ことだま）」という日本独自の考え方が息づいています。言葉には力が宿り、発した言葉が心や空気を変える――そんな優しい価値観が祓詞には込められているのです。

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